【GA4】レポートIDにおけるGoogleシグナル削除の影響について

CCIアナリティクス担当の田口です。今回のコラムでは、12月8日にGoogle社よりメールで周知された「Google Analytics 4: Google signals will be removed from reporting identity on February 12th, 2024」の内容、つまり2024年2月12日からレポートIDよりGoogleシグナルが削除される点について触れたいと思います。

 

まず、今回の設定が影響するのは、GA4管理画面の「レポートID」の箇所になります。

【DA】GA4-ReportID-GoogleSignal_1

実はこの「レポートID」は以前は「レポート用識別子」というメニュー名でしたが、2023年に入り(?)、メニュー名が変更となっています。

 

そして、このレポートIDをクリックすると、さらに3種類の選択肢が表示されます(余談ですが、この画面だと引き続き「レポート用識別子」というタイトルです)。

そのうちの「計測データ」を展開すると下記のように3点の項目が表示されます。

【DA】GA4-ReportID-GoogleSignal_2

まずは、レポート用識別子として表示される3点について整理しておくと、以下の様になります。

  • ハイブリッド
    直近ではGDPRに代表されるように、デフォルトでCookieが無効になっているケースがあります。また、GDPRの地域ではCookieはユーザーが明確に利用に同意しない限り、利用されません(Webサイトの動作に必要不可欠なCookieは除く)。このメニューでは、その場合にもGoogleが推計によるユーザー数をカウントします。
    具体的には「ユーザーID」「Googleシグナル」「デバイスID」「モデリング」の4つの方法でユーザー数をカウントします。

  • 計測データ
    ハイブリッドから、モデリングの方法を除き、「ユーザーID」「Googleシグナル」「デバイスID」の3つの方法でユーザー数をカウントするメニューです。

  • デバイスベース
    このメニューでは、WebサイトではCookieベースで、スマートフォンアプリではアプリ端末が持つインスタンスID、つまり「デバイスID」の1つのみでユーザー数をカウントします。

 

以上の様に、GA4ではユーザー数をカウントするロジックを元々3つの方法で指定することが可能です。デフォルトだと「ハイブリッド」の方法が選択されます。なお、デバイスベースについては、レポートIDを選択後に表示される画面で「すべて表示」をクリックしないと表示されません。

 

次に、「ユーザーID」と「Googleシグナル」「デバイスID」の違いについて説明します。

 

  • ユーザーID
    Webサイトにログイン機能を有している場合、ユーザーには通常で会員IDが付与されます。運営サイトによりIDの付与ルールは異なりますが、Webサイトやスマートフォンアプリなど異なるデバイスを同一のユーザーが利用していても、ログイン時の会員IDは同一になります。
    この会員IDで、異なるデバイスのアクセスを同一ユーザーと識別することが可能になります。

  • Googleシグナル
    簡単に言えば、Googleが独自の技術でユーザーに付与するシグナル、となります。このGoogleシグナルの仕様はGoogleも開示していないため、自身にどのようなシグナルが付与されているかも特定することは出来ません。

  • デバイスID
    これについては記述の通り、WebサイトではCookieベース、スマートフォンアプリではアプリ端末が持つインスタンスIDベースの情報となります。

 

それぞれの識別子の違いは上記の通りで、GA4ではIDの優先順位は以下の様になります。
ユーザーID > Googleシグナル > デバイスID

 

 

それでは、具体的にこのIDの違いで、ユーザー数はどのように計測されるのでしょうか。
今回の変更が適用される前、適用後でそれぞれ説明すると、以下の様になります。

 

【変更前】

【DA】GA4-ReportID-GoogleSignal_3

【変更後】

【DA】GA4-ReportID-GoogleSignal_4-1

 

つまり、現在はGoogleシグナルによってはWebサイト来訪ユーザーが「1」にも「2」にも「3」にもなり得る状態でしたが、2024年2月の変更後はシンプルに「ユーザーID」もしくは「デバイスID」のみでユーザー数がカウントされる仕様になる、という状態です。

 

もちろんロジックが変更になる事で、変更前とユーザー数が変動する可能性は考えられますが、Googleシグナルによるユーザーのマッチ率は(Webサイトのテーマによっても変わると考えられますが)おそらく3~5%前後程度と予想されるので、大幅なユーザー数の変化は発生しないと考えられます。

 

 

なお、この変更によるメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 「しきい値」発生の回避
    GA4では、一定の数字に達しない場合には、標準レポート利用時にはプライバシーの観点で「しきい値」が適用されるケースがありました。この事象についての詳細は過去にコラム化しているため、以下のリンクよりご覧ください。

    【GA4】レポートを見るときに要注意!しきい値とは?
    今回の変更で、この事象が回避できることが見込まれます。

  • 変更が適用された後も、Google広告へのデータ連携は引き続き可能
    冒頭で触れたGoogleのメールにも、以下の記載があります。
    This change will apply to all of your Google Analytics 4 properties and will only affect reporting features. 
    この変更は、Google アナリティクス 4 のすべてのプロパティに適用され、レポート機能のみに影響します。
    つまり、影響範囲はレポート機能のみという形となります。


また、私の見解ではこの適用が発生した際も、有効にしている場合はデモグラフィックレポートと興味関心レポートも引き続き利用可能と考えています。
この点についてGoogleは以下の案内をしています。

Google Analytics will still collect Google signals, when enabled, to be used in demographics and interests reporting. 

Googleアナリティクスは、人口統計と興味関心レポートに使用されるGoogleシグナルを、有効な場合は引き続き収集します。

 

上記は変更後にならないと詳細を把握できない懸念はありますが、その一方で、現在はデモグラフィックレポートと興味関心レポートが取得できる割合は来訪ユーザー全体のうち1~2割程度で、iPhoneなどiOSのユーザーはほぼ取得できない状態です。そもそもで、お客様にもその前提でご案内した方が良いかと考えています。

 

 

今回はGoogleから行われた、レポートIDにおけるGoogleシグナルの削除についてご案内しました。GA4はユニバーサルアナリティクスと比べると仕様が大きく変化しており、かつ仕様変更も頻繁となっています。これは昨今のプライバシーに配慮した設計が求められている点、あるいはユーザーのデジタル上の行動が複雑化していることも要因ですが、その変更に対して感度高くキャッチアップしていくことが求められます。

 

CCIは、GA4個人資格を有するアナリストが様々な方法でその情報のキャッチアップに努めており、お客様のデータ活用の支援を行っています。GA4の更なる利活用に向けて仕様を正確に把握したい場合、またGA4の機能を十分に活かせていないといった課題を感じている場合は、ぜひ下記のお問い合わせよりご相談ください。

 

 

 

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CCI(CARTA COMMUNICATIONS )は、Google社よりAnalytics認定パートナー(GMP Partner)を取得しています。また、Adobe社のマーケティングソリューションパートナーとしても活動中です。これまでにECサイト・リード獲得サイト・ブランド認知サイトと、多種多様なお客様運営サイトの実装・分析・BIダッシュボード開発を手掛けています。