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【GA4】新規追加の「セッションの手動~」ディメンションについて検証 | CCI Analytics

作成者: 田口 剛|Feb 27, 2024 12:00:00 AM

CCIデータアナリストの田口です。今回のコラムでは、2024年2月に追加された、「セッションの手動キャンペーン名」「セッションの手動参照元/メディア」について検証した結果を解説します。UTMパラメータを利用した広告施策の流入、特にGoogle広告の流入において役立つ情報となっています。

 

まず前提から触れると、Google社のヘルプページ「Google アナリティクスの新機能」で、2月8日の日付で以下の案内が記載されました。

この中で注目すべき記載としては「れらの新しいディメンションは、有料トラフィックとオーガニック トラフィック、Google メディア、第三者メディアに一貫して適用される」の箇所です。その背景としては、すでに本サイトの過去のコラムでも触れている通り、GA4におけるGoogle広告の流入に関しては、参照元/メディアは「google / cpc」に集約される、という仕様が存在するためです(Google広告の設定しだいでは回避は可能)。

この詳細については、以下のコラムをご覧ください。

 

この仕様では、GA4の広告パラメータとなるUTMパラメータで特定の文字列を付与したとしても回避できない事象となっていたため、Google広告の流入を詳細に分類することが難しい状態となっていました。その環境下で今回追加されたディメンションが解消する手段となるのか、検証を行いました。

 

検証①:「セッションの参照元/メディア」

まずは従来から利用できる「セッションの参照元/メディア」のディメンションのみ反映した探索レポートを見てみます。

この図の通り、Google広告の流入は「google/cpc」で集計されている状態です(実際には、UTMパラメータで別の文字列を指定して入稿しています)。

 

 

検証②:「セッションの手動参照元/メディア」

次に、今回追加された「セッションの手動参照元/メディア」で見てみます。

…このディメンションで見てみると、いくつかの点に気づきます。

 

  • 「(direct/none)」が無くなっている
  • 「google/cpc」が無くなっている

 

特に後者については、「結局、これまでの仕様を回避できない状態なのか?」と感じてしまうところです。引き続き、検証を進めてみます。

 

 

検証③:「セッションのキャンペーン」と「セッションの手動参照元/メディア」

次に、この2つのディメンションを掛け合わせて数値を抽出してみます。

 

…この状態だと、「セッションの手動参照元/メディア」に新たな文字列が表示されていることが分かります(赤枠の箇所)。

この文字列は実際にUTMパラメータで付与していた参照元メディアの文字列であり、その文字列が反映された状態となりました。つまり、この組み合わせであればGoogle広告の流入でもUTMパラメータの文字列が活用できることが分かります。

これまでGoogle広告流入の分類に関してはutm_contentの箇所あるいはutm_campaginの箇所で参照元メディアに基づく文字列を入れるなどの方法で分類が必要でしたが、このディメンションの追加により、その手間は解消できそうです。

 

 

検証④:「セッションのキャンペーン」と「セッションの参照元/メディア」

なお、従来から利用できた「セッションのキャンペーン」と「セッションの参照元/メディア」の組み合わせも念のため掲載します。

 

「セッションのキャンペーン」と「セッションの手動参照元/メディア」の組み合わせと比べると、以下の違いがあります。

 

  • キャンペーンが「(direct)」の場合、このケースだと参照元/メディアは「(direct/none)」となる(青枠。1つ前の組み合わせだと「(not set)」)。
  • 従来の仕様通り、Google広告の流入は参照元/メディアは「google/cpc」になる。

 

前者については大きな混乱は発生しないかもしれませんが、違いとして認識しておくとよいかもしれません。

なお、このタイミングで触れますが、これまでのキャプチャにおける探索レポートについては、2023年8月1日~8月7日の日付ですべて抽出しています(オレンジ色枠)。つまり、新しいディメンションは、過去日付に遡って利用することが出来る、という事になります。

 

 

おまけ検証:「セッションの手動キャンペーン」と「セッションの手動参照元/メディア」

この2つのディメンションでも検証してみました。すると以下のような事象が発生します。

 

  • ノーリファラー(「direct」)の流入分は反映されない
  • Google広告流入分は反映されない

 

抽出結果がこの様になるのは理由は不明ですが、この2つが反映されないとなると、データとしては利用しづらい印象があります。

 

 

その他の確認事項

今回、このディメンションが追加されたことで「Analytics Data API」でも利用することが出来るかを確認してみましたが、現状はデベロッパーページにディメンションは掲載されておらず、利用できない状態の様です。また、Looker Studioでもデータソースを再接続してみましたが、これらのディメンションは追加されない状態でした

 

これらのツールでも今回追加されたディメンションが活用できる様になると、集計の部分で大きなメリットになりそうなため、一日でも早い反映を期待したいところです。
※2024年4月加筆
4月現在、「Analytics Data API」にもセッションの手動関連のディメンションは追加されていることを確認済みです。同様にLooker Studioでもディメンションが追加されています。

 

なおBigQueryでは、セッション手動関連のディメンションは既に関連のフィールドが用意されており、利用することは可能です。詳細は以下のスキーマ一覧からご確認ください。

 

検証まとめ:「セッションの手動~」ディメンションの利用方法

今回の検証をまとめると、現時点では「セッションの手動~」ディメンションについては、以下の様になります。

 

  • 「セッションの手動参照元/メディア」は「セッションのキャンペーン」と
    掛け合わせる形で利用する
  • 「セッションの参照元/メディア」と「セッションの手動参照元/メディア」
    それぞれの掛け合わせで、文字列が一致しないケースがある(注意点)

  • 追加された「セッションの手動~」ディメンションは、過去日付に遡って
    利用することができる

  • 追加された「セッションの手動~」ディメンションは2024/2/26時点では「Analytics Data API」には未反映(利用不可)

 

今回は、新たに追加された流入元情報絡みのディメンションについて検証を行ってみました。GA4では新機能の追加、あるいはレポートIDの変更など、頻繁に仕様の更新が発生しています。

 

CCIはGA4個人資格を有するアナリストがこれらの情報キャッチアップに努めており、特に広告流入など、流入施策におけるデータ検証についてはユニバーサルアナリティクス時代から蓄積した多くの知見があります。これらの知見を活かし、お客様の集客施策の効果を適正に評価し、改善すべきポイントを提示することが可能です。

 

GA4の支援内容については、ぜひ以下のページもご覧ください。